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「司政官 全短編」 眉村卓 [Book]

「司政官全短編」、創元SF文庫、727ページ。

70年代に発表された「司政官」、「長い暁」の2つの短編集を一巻本にまとめたもの。およそ20年ぶりに読みました。
東京創元社の蛮勇(?)に拍手を送りたいです。

司政官シリーズの長編は、 「消滅の光輪」、「引き潮のとき」の二つ。
「消滅の光輪」は泉鏡花文学賞、星雲賞の傑作。
「引き潮のとき」は、80年代のSFマガジンに延々と連載されていた長編で、実は途中までしか読んでいません。ハヤカワ書房から文庫本で出た記憶もなし。「司政官全短編」のあとがきを読むまで、未完のままかと思っていました。

今回再読してみて、SFという道具立てでしかできない、独特の世界の面白さを改めて感じました。
ただ、あれから20年以上経って、書店のSF関係の書棚が狭くなっている現状は、正直少し悲しいです。この本のような、上質の大人の物語がもっと読まれるようになってほしいと思います。

SFは、たしかに読者を選ぶ?ジャンルかもしれませんが、それは純文学だってそうなので、まずは触れる機会があるかどうかではないでしょうか。

アマゾンのレビュー欄にも、三人の方が詳しくコメントを書いていますので、参照してみてください。


眉村卓といえば、映画『ねらわれた学園』(1981年 薬師丸弘子)の原作に代表される、学校を舞台にしたジュブナイル小説もたくさん書いています。
一番好きな作品は、「ねじれた町」(1974年出版。2005年に青い鳥文庫にて復刻) 。今読んでも新鮮で面白いです。

司政官シリーズの母体となった、初期の作品には、「産業士官候補生」、 「EXPO'87」という作品があります。
これら一連の作品が、SFなのか、いわゆる文学なのか、たとえば文学史的に認知されているか、そんなことは実はどうでもよくて、そこに書かれている人間たちの姿や思いを読者がどう感じるかが全てでしょう。今の時代に、是非再販して欲しい作品です。

創元社さん、これからも期待しています。


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