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「水戸光圀」 山岡荘八 [Book]

幕末ものを読んでいると、水戸学、大日本史という言葉がたくさん出てきます。
その卸元になったのが、水戸藩第二代藩主、家康の孫の水戸光圀。

テレビの水戸黄門以外に、何かないものかと思っていて、この本を読んでみました。

徳川綱吉との対峙、水戸藩内のお家騒動に、若侍と娘たちの駆け落ち騒動などなど、水戸黄門漫遊記というのは、なるほどこういうものか、と思いました。全体的に安心して読めます。

実は山岡荘八は初めてでしたが、予想以上に読みやすかったです。吉川英治に入り込めなかった私でも大丈夫でした。

山岡荘八歴史文庫はちょうど100冊あって、「水戸光圀」は69の番号が付いてます。
いちばん長いのが有名な徳川家康(全26巻)。そのうち読んでみようか、と少し思いました。

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Overlook [eigo]

ペイリン、バイデン両副大統領候補のdebateのニュースに、

She was almost overlooked.

という表現がありました。

overlookは、語感のままに「見渡す」という意味かと思っていたのでピンと来ませんでしたが、辞書を引くと、「見落とす」「見過ごす」「見逃す、大目に見る」の方が先に出てました。

高いところから下を見渡す、というより、視線を上にあげて見ないようにする、焦点を合わせない、というような感覚の方が強いようです。

つまり、She was almost overlooked.は、彼女(ペイリン候補)はだいぶ大目に見られていた(でも今は・・・)、ということなのでした。


ほかにOver...で思いつく単語では、overprotected。これはズバリ、「過保護」です。
overprotected child, overprotective parents、など。


“There you go again, talking about the past.” (またあなたは過去のことを言ってますね)
というペイリン候補の切り返しにも賛否両論のようです。

Debate戦術的にうまいセリフだった、というものから、過去ではなくつい最近のことなんだから・・・、という意見まで。(Palin’s problem and McCain’s, is that the recent past is crucial in this election. )


あと、ペイリン候補の報道でよく耳にする単語では、folksy, cutesyがあります。
Her folksy style like...
She tried to get cutesy...

folksy 「庶民的な」はいいとして、cutesyはcute-syなので、「かわい子ぶった」とか「ぶりっ子の」。

こういうとき、同時通訳の人はなんて言うんでしょうね。語感的に「気取ってる」というのとも違うし、やっぱり「ぶりっ子」がぴったりの気がしますが(^。^)。

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シーズン1の第21話 [The West Wing]

BS日テレでやっていた「The West Wing」のシーズン1(字幕版)は全話放送終了。ぜひ続けてシーズン2以降も放送してほしいですね。

シーズン1の第21話、かなり盛りだくさんな内容で、ぴりっとおいしい細かいエピソードがたくさん詰まっています。


その中から、バートレット大統領(民主党)が、共和党の大物議員に、選挙資金規制についての協力を申し出る場面。
下院の与党は共和党なので、本来なら頭を下げて頼む場面ですが・・・。

まずは、海千山千の古だぬき(?)どうしの絶妙な掛け合いで、民主党と共和党のカラーを紹介してくれます。

BARTLET
We agree on nothing, Max.

MAX
Yes, sir.

BARTLET
Education, guns, drugs, school prayer, gays, defense spending, taxes, you name it, we disagree.

MAX
You know why?

BARTLET
'Cause I'm a lily-livered, bleeding-heart, liberal, egg head, communist.

MAX
Yes, sir. And I'm a gun-toting redneck son-of-a-bitch.

BARTLET
Yes, you are.

MAX
We agree on that.

民主党は、"lily-livered, bleeding-heart, liberal, egg head, communist"。リベラルな共産主義者以外は意味はよく分かりませんが、決まり文句みたいなものでしょう。
一方の共和党は、"gun-toting redneck son-of-a-bitch"。銃を持ち歩いてる赤い首の・・・というよく聞くフレーズ。

BARTLET
We also agree on campaign finance.

MAX
Yes, sir.

BARTLET
So, Max.

MAX
Yes, sir?


挨拶は終わり。ここから一気に本題です。


BARTLET
Let's work together on campaign finance.

MAX
You don't have the votes in the House.

BARTLET
I don't need them. 1978, the FEC voted a regulatory rule that opened the door to soft money. The FEC can close it again with 4 of the 6 votes. We don't need a law.

下院は通りませんよ、というマックスに、法律は必要ない、FEC(選挙制度委員会?)の6人の委員のうち、4人の票があればいいんだ、というバートレット。

MAX
And how are you going to get the four votes?

BARTLET
Two seats opened up, I nominated Bacon and Calhoun.

MAX
That's two.

BARTLET
Barry Haskel was with us already. We took him out of the closet.

MAX
How are you going to get the 4th seat to open up?

BARTLET
Toby's going to take care of that right away. Max, can I count on your support to confirm my candidates?

必要な票はあと一つです。その最後の一つを共和党のマックスにサポートしてほしい、というのが、この会談の目的なのでした。

ここからは、いつものごとく党利党略の取り引きがえんえんと続くんだろうな、と思ったのですが・・・。


MAX
And what do I get in exchange?

BARTLET
The thanks of a grateful President.

MAX
Good answer, sir.

BARTLET
Thank you.

They shake hands.


「代わりに何がいただけますか?」
「・・・私からの感謝だ」
「・・よくおっしゃいました」

最後の部分は、NHK版の吹き替えではこんな感じだったと思います。
この場面は翻訳も吹き替えも抜群でしたが、ぜひ英語の台詞の方も聞いてみてください。二人ともかなりかっこいいです。
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「背信」 ロバート・B・パーカー [Book]

スペンサー・シリーズ第31作。原題は「Bad Business」。

冒頭から、いつもの調子で"Tough, but sensitive."と自己紹介するスペンサー。

今回は、もろにエンロンがモデルの大企業の重役とその奥さんたちがバタバタと入り乱れる話。登場人物もかなり多くて、全体に分かりやすくはないですが、いつものメンバーたちの活躍は十分楽しめます。

州警察のヒーリイ警部は、第二作の「失投」からの長いつきあい。
殺人事件の現場でスペンサーと顔を合わせる場面。

The car door opened and Healy got out.
"Evening, Captain."
He looked at me for a monent.
"Oh shit," he said.
"Oh shit?"
"Yeah. You're in this."
"So?"
"So that means it'll be a fucking mess."

おまえが関わってるってことは、とんでもなく面倒な事件ってことか・・・。


ある女性に、ヴィニイ・モリスをボディ・ガードとして紹介する場面。

"Is he ...? Can he really protect me? He's not big like you."
"It's Vinnie's position," I said, "that big just makes a better target."

「彼が・・・?私を守れるの?彼はあなたみたいに大きくないわ」
「身体が大きいのは、いい標的になるにすぎない、というのがヴィニイの見解だ」


今はシリーズ34作目の「Now and Then」のペイパーバッグが届くのを待っているところです。
「Bad Business」の次の「Cold Service」と「Dream Girl (One Hundred dollar Baby)」が少し暗い感じだったので、次はどんな話になっているか楽しみです。
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「東寺の謎」 三浦俊良 [Book]

”物の興廃はかならず人に由る。人の昇沈はさだめて道にあり。”

儒教の星、道教の月、仏教の日をあきらかにする総合教育。
身分に関係なくだれでも学べる学校。
学費は無料。

綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)。
当時の社会常識からすれば、まったく考えられないような学校です。

お考えは立派だが、そんな学校を作ったところで、とうていうまくいかないでしょう。
そう言う人たちに、その人はこう答えて、協力を求めたそうです。

「物の興廃はかならず人に由る。人の昇沈はさだめて道にあり」


それから千二百年ほど経った昭和30年代。
東寺高校(現在の洛南高校)の再建のために、この本の作者は奔走します。しかし金がない。
時は経っても、その人の弟子たちは明快でした。

”国宝とは古くは人をさすことばであった。人こそ国の宝であると、わが国では認識されていた・・・。
空海は国宝にしようとおもって寺宝を残したのではないだろう・・・。人は国の宝である。ならば国宝を売って国宝をつくろう。”


この本、私は古本屋で偶然手にしましたが、東寺の講堂の奥の売店にもありました。
平成13年、祥伝社黄金文庫。
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「苦悩の旗手 太宰治」 杉森久英 [Book]

河出文庫、1983年。初出は1967年(文藝春秋)なので、太宰が没してから約20年後の作品。
編集者時代の杉森久英が、これほど太宰治と関わりがあったとは、この本を読むまで知りませんでした。

太宰の三鷹の自宅に原稿依頼に行く場面。

”・・・たとえば芥川賞がほしいために、佐藤春夫に毎日嘆願状を出したり、菊池寛に土下座したりするような男だという世間の評判をききかじっていたので、くだらない男だという先入観をもっていた・・・”

”はじめて会った太宰の印象は、まさしく私の先入観を裏づけるようなものであった・・・それは見方をかえれば、彼の心の繊細さ、やさしさ、感じやすさを物語ってもいるわけで、それこそ太宰の一番貴重な宝だったはずだが、そのときの私には、そうは映らなかった。”

初対面の太宰の、”上級生が下級生に対するような”、”妙に物を教えるような態度”に、杉森は反発を覚えます。
昭和14年、太宰29才、杉森26才。
このときの原稿が、あの「駆込み訴え」でした。

そして、志賀直哉が、「斜陽」の主人公の言葉遣いはおかしいと言い、それに太宰が”狂気のように食ってかかった”有名な事件。
そのきっかけになった座談会は、杉森が「文藝」の編集者として担当したものでした。
その後まもなく太宰は自殺。

太宰の生涯を追う正統派評伝としての部分と、作者のいわば贖罪に近い思いが感じられる私小説のような部分。その二つが混ざり合って、他の杉森評伝作品とはまったく違う作品になっています。
坂口安吾の「不良少年とキリスト」(角川文庫「堕落論」所収)と並んで、太宰ものの双璧を成す作品だと思います。

太宰 治 1909年6月19日 - 1948年6月13日(38)
杉森 久英 1912年3月23日 - 1997年1月20日(84)

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「司政官 全短編」 眉村卓 [Book]

「司政官全短編」、創元SF文庫、727ページ。

70年代に発表された「司政官」、「長い暁」の2つの短編集を一巻本にまとめたもの。およそ20年ぶりに読みました。
東京創元社の蛮勇(?)に拍手を送りたいです。

司政官シリーズの長編は、 「消滅の光輪」、「引き潮のとき」の二つ。
「消滅の光輪」は泉鏡花文学賞、星雲賞の傑作。
「引き潮のとき」は、80年代のSFマガジンに延々と連載されていた長編で、実は途中までしか読んでいません。ハヤカワ書房から文庫本で出た記憶もなし。「司政官全短編」のあとがきを読むまで、未完のままかと思っていました。

今回再読してみて、SFという道具立てでしかできない、独特の世界の面白さを改めて感じました。
ただ、あれから20年以上経って、書店のSF関係の書棚が狭くなっている現状は、正直少し悲しいです。この本のような、上質の大人の物語がもっと読まれるようになってほしいと思います。

SFは、たしかに読者を選ぶ?ジャンルかもしれませんが、それは純文学だってそうなので、まずは触れる機会があるかどうかではないでしょうか。

アマゾンのレビュー欄にも、三人の方が詳しくコメントを書いていますので、参照してみてください。


眉村卓といえば、映画『ねらわれた学園』(1981年 薬師丸弘子)の原作に代表される、学校を舞台にしたジュブナイル小説もたくさん書いています。
一番好きな作品は、「ねじれた町」(1974年出版。2005年に青い鳥文庫にて復刻) 。今読んでも新鮮で面白いです。

司政官シリーズの母体となった、初期の作品には、「産業士官候補生」、 「EXPO'87」という作品があります。
これら一連の作品が、SFなのか、いわゆる文学なのか、たとえば文学史的に認知されているか、そんなことは実はどうでもよくて、そこに書かれている人間たちの姿や思いを読者がどう感じるかが全てでしょう。今の時代に、是非再販して欲しい作品です。

創元社さん、これからも期待しています。


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東大寺 戒壇院、転害門 [Travel]

東大寺戒壇院の四天王を最初に見たのは、土門拳の写真だったでしょうか。いつか実際に見てみたいと思っていました。

戒壇院は、大仏殿を正面に見て左に曲がり、かなり分かりにくい矢印を辿っていった先にあります。想像していたよりずっと小さく、こじんまりとした建物でした。

中に入ると、一メートルほどの段があり、その四隅にかの有名な四天王像が立っていました。
近くで見ると、塑造の質感は、木造や乾漆のそれとはずいぶん違います。あの眉や目の表情のリアルさ、全体の立ち姿の静かさ、触れたら動き出しそうな感覚は、塑造ならではのものだと思いました。

こうして、本来の場所に、自然の照明の下に、本来の役目を果たすために立っている仏像は、やっぱり、なんともいえずいいものです。


外に出て、正倉院をフェンスの隙間から垣間見ながら歩いているうちに、市道に出てしまいました。
そのまま道なりに坂を下って、転害門へ。

東大寺創建当時から残っている唯一のもので、もちろん国宝ですが、大仰な囲いも人気もなく、すぐ目の前はふつうの国道で、車やバスがみっちり渋滞していました。
最近では、鳩やら野良猫やら排気ガスやら、いろいろ問題視されているようですが、転害門はもう千年以上もそこにあるわけで、あんまりそんなことは気にしていないように見えました。


街を歩きながら、ちょっと目線を上げると、古の奈良の都の人たちが見たのと同じ、なだらかな奈良の山々と青い空です。
奈良は、いつ来ても、なんだかとても優しいです。

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『シー・オブ・ラブ』 [Eiga]

アル・パチーノ、エレン・バーキン、ジョン・グッドマン、1989年。

アル・パチーノ出演作で三つ選べと言われたら、ゴッドファーザー 『The Godfather (1972)』、 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り Scent of a Woman (1992)』 と、この『シー・オブ・ラブ Sea Of Love (1989)』です。

強面でちょっと危ない役ばかりやっていたアル・パチーノが、この映画では、酒飲みでバツイチの刑事役を、なんだか楽しそうに演じています。

恋人役のエレン・バーキン、相棒役のジョン・グッドマンも、アル・パチーノの存在感に負けない、自然で味のある演技を見せてくれます。
なにかの賞をとったわけでもなく、とくに有名でもない作品ですが、とてもいい映画だと思います。

アル・パチーノは嫌いじゃないけど、あのアクの強さはちょっと・・・と思っている方には、特にお薦めです。
かっこわるい役のパチーノもいいですよ。


アル・パチーノとエレン・バーキンは、『オーシャンズ13 』で共演しているようですが、こちらはまだ未見。

ジョン・グッドマンは、The West Wing Season4の最終話とSeason5にゲスト出演。
共和党のウォーケン臨時大統領役で出てきました。『シー・オブ・ラブ』のころより更に太めになってましたね。嫌われても好かれてもいけない、難しい役どころを演じています。

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「我が愛する詩人の伝記」 室生犀星 [Shiika]

室生犀星が同世代の詩人11人について書いた伝記。中公文庫。

北原白秋、高村光太郎、萩原朔太郎、釈超空、堀辰雄、立原道造、津村信夫、山村暮鳥、百田宗治、千家元麿、島崎藤村。

特に、高村光太郎を書いた部分は、何度も読み返しました。

生年と没年(享年)。
萩原 朔太郎 1886年(明治19年)11月 1日-1942年(昭和17年)5月11日(55)
北原 白秋 1885年(明治18年) 1月25日-1942年(昭和17年)11月2日(57)
立原 道造  1914年(大正3年) 7月30日-1939年(昭和14年)3月29日(24)
堀 辰雄  1904年(明治37年) 12月28日-1953年(昭和28年)5月28日(48)
高村 光太郎 1883年(明治16年) 3月13日-1956年(昭和31年) 4月2日(73)

室生 犀星 1889年(明治22年) 8月1日-1962年(昭和37年)3月26日(72)

あとがきから。
”中原中也、宮沢賢治、中川一政の詩にも私は惹かれていたが、その個人の生活が不分明であり起稿は不可能であった”

宮澤 賢治 1896年(明治29年)8月27日-1933年(昭和8年)9月21日(37)
中原 中也 1907年(明治40年)4月29日-1937年(昭和12年)10月22日(30)


現代詩の詩人たちを知る資料として重要なだけでなく、文章も内容も本当に素晴らしい作品集だと思うのですが、残念ながら現在は絶版になっているようです。
古本なら、アマゾンなどで入手可能です。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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